世界の製造業9%減益、中国減速で電機など不振 7〜9月

中国景気の減速で世界の製造業の業績が悪化している。2023年7〜9月期の純利益は前年同期より9%減り、4四半期連続で減益だった。スマートフォンや半導体が不振で、設備投資需要も低調だった。金利上昇で利ざやが改善した金融や生産が正常化した自動車が支えて、全体は3%の増益だった。米中景気の先行きが懸念され、増益基調が続くかは不透明だ。

QUICK・ファクトセットのデータを使い、日米欧中などの主な上場企業約1万3000社(未発表の場合は市場予想、8日時点)の業績を集計した。株式の時価総額ベースで全体の約9割を占める。

7〜9月期の純利益の合計は1兆981億ドル(約160兆円)。主要な16業種のうち化学(43%減)や電機(12%減)など製造業を中心に9業種が減益だった。機械(10%減)は5四半期ぶりに減益となった。非製造業の利益は16%増えた。

中国景気の変調が製造業の業績の悪化につながっている。QUICK・ファクトセットによると、全体の売上高に占める中国比率(推計値)が30%以上の非中国企業約240社の純利益は、3割減った。中国比率が10%以上〜30%未満(1%減)、10%未満(7%増)と比べ苦境が際立つ。

「世界の工場」と呼ばれる中国でスマホの生産や自動化設備などの需要低迷が幅広い業種を直撃した。

米半導体大手テキサス・インスツルメンツ、台湾積体電路製造(TSMC)はいずれも2割超の減益だ。TSMCの魏哲家・最高経営責任者(CEO)は「マクロ経済全体が弱含みで推移し、中国の需要回復が遅れて顧客は在庫管理に慎重な姿勢を崩していない」と話す。

米化学大手のダウは59%の減益、デュポンは13%の減益だった。中国の設備投資が鈍り、工作機械の頭脳の数値制御(NC)装置といったファクトリーオートメーション(FA)機器も落ち込んだ。ファナックは20%の減益となった。業績の先行指標になる受注高は中国で35%減っている。

中国政府の景気刺激策への期待はあるものの、現地では足元の消費も低迷し始めている。米化粧品大手エスティ・ローダーは稼ぎ頭の中国市場の不振が響き、9割を超える減益となった。

製造業の業績が低迷するなか、金融が下支えした。増益額は全業種トップだ。米銀大手の純利益は商業銀行業務が中心のウェルズ・ファーゴが61%増、JPモルガン・チェースが35%増と好調だ。

夏以降に米金利の上昇に弾みがつくなか、融資で稼ぐ金利と、預金をはじめとする調達金利の差である利ざやが広がった。

米巨大テックは復調してきた。アップルマイクロソフトなど6社の利益は41%増えた。人員削減などコスト圧縮を進めたほか、景気減速の影響を受けていたネット広告などが回復した。トヨタ自動車をはじめとした自動車も好調で、55%の増益だった。

23年10〜12月期の先行きはQUICK・ファクトセットの市場予想を集計すると、製造業は7%の増益で、全体で21%の増益だ。

中国経済への不安のほか、金融引き締めの長期化で、米国の景気減速への懸念は根強い。高金利環境は融資の需要減退や焦げ付きを招き、好調な金融の逆風になる。不良債権処理費用を積み増す動きもあり、ウェルズのチャールズ・シャーフCEOは「与信の絞り込みを続けている」と語る。

底堅かった米景気には減速感が漂う。米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した10月の非製造業景況感指数は5カ月ぶり低水準で、個人消費に変調の兆しがある。企業業績を支えてきた米景気が崩れれば、幅広い業種に影響が及ぶ可能性がある。(日経電子版 参照)

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