転職希望1000万人の実態は? 35%賃金増、87%足踏み

転職希望者が2023年に初めて1000万人を超えた。就業者の6人に1人にあたり、人材不足や就業観の変化が背中を押している。一方、実際に転職した人は350万人にとどまる。個人が転職をキャリアアップにつなげ、雇用が成長産業に移動するような好循環が求められる。

転職市場が活況だ。処遇・待遇への不満や職場の人間関係、会社の将来性への不安、新しいことに挑戦したいなど理由は様々だが、転職希望者は5年前に比べて2割増えた。1人の転職希望者に対して中途採用の求人が何件あるかを示す転職求人倍率は1月に2.8倍と「売り手市場」になっている。24年春卒の大卒求人倍率(1.71倍)を上回り、パーソルキャリアが現在の基準で算出を始めた19年以降では2番目に高い。

業種別でみるとエンジニア不足のIT・通信は7.73倍、メーカーも3.22倍だ。一般的に求人倍率の高い業種は引き合いが強く、賃金水準も高くなる傾向にある。

転職で給料が下がることを心配する人もいるだろう。リクルートの調査では23年10〜12月期で転職によって明確に賃金が増加した人は全体の35%だった。

転職サイト「ビズリーチ」上で年収1000万円以上の転職数をみると、23年は3年前に比べて3.2倍に増えた。専門性と高いスキルを持った即戦力人材を求める動きが強まっている。

ただ、実際の転職者数とのギャップは大きい。リクルートワークス研究所の調査では転職希望者の87%は1年以内に転職していない。「いずれ転職できたら」など漠然と希望している人が多いのも理由だが、自分に合う仕事が分からないといった「転職迷子」の存在も指摘される。会社任せのキャリアにせず、自分で切り開いていくという働き手の意識変革も欠かせない。

「転職は35歳が限界」と言われてきたが、ミドル・シニア層の転職は多い。2022年の転職者のうち35歳以上は全体の58%を占めた。年齢が上がると、それまでの経験やスキルを生かし、同じ職種のまま別の業種へ移る人が増える傾向にある。リクルートワークス研究所によると、50歳を過ぎると会社都合退職の増加もあり、年収が下がるケースが増える。

海外と比較するとどうだろう?

日本ではまだ、海外と比べて転職が一般的とはいえない。求人サイト「Indeed(インディード)」を運営する日本法人が23年6月にまとめた調査によると、日本の正社員の転職経験率は60%。米国(90%)や韓国(76%)より低い。転職をキャリアアップや昇進につなげられていない日本では、転職後の昇給率も海外に比べて低い傾向にある。

前向きな転職が広がるには?

転職へ踏み出せない人が多い背景には、不安感や自信のなさがある。Indeedが転職に「怖い・不安」と「楽しい・ワクワクする」のどちらに近いイメージを持つかと問うと、日本は「怖い・不安」が諸外国より多い約7割に達した。不満があるのに会社に残る社員が多いことが、日本企業のエンゲージメント(働きがい)を下げている面もある。(日経電子版 参照)

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