就活解禁、人手不足で高校生争奪戦…バブル期上回る求人倍率

2024年春卒業予定の高校生の就職活動で、企業による学校訪問や求人情報の公開が今月解禁された。幅広い業種で人手不足が目立つ中、高校生の求人倍率は今春卒で3倍超とバブル期を上回り、来春入社を巡っても同様の傾向が続く見通し。若い人材の争奪戦は激しくなっている。(三浦孝仁)

解禁後初めての平日となった3日午前、大阪市平野区の大阪府立東住吉総合高校を複数の企業の社員が訪れ、進路指導担当の教員に求人票や会社案内を手渡した。来校した産業用設備・鉄塔メーカー「デンロコーポレーション」(大阪市)の清水義博総務本部長は「将来の会社を支える人材として大切に育てたい」と語った。

 同校は工業の専門科目を学べるコースもあり、例年は3年生の約4割が就職を希望。今年は209人中91人が応募予定だ。毎年700社超から求人があり、進路指導部の八島伸行教諭は「大手の引き合いも多い。会社の仕事内容や雰囲気を肌で感じられるよう、生徒には複数社を見学するよう伝えている」と話す。

厚生労働省によると、今春の高卒者の求人倍率は3・49倍(前年同期比0・6ポイント増)と、過去最高だった1992年の3・34倍を上回った。少子化で社員の年齢構成が高くなり、若い人材の確保に動く企業が多いためだ。

 就職支援会社「ジンジブ」(大阪市)の4月の調査によると、高卒採用を実施する企業約300社で、来春の採用数を前年度比で「増やす」「同等」としたのは計87・5%と、前年の結果を3・2ポイント上回った。同社広報担当は「サービス業や製造業を中心に高卒人材を求める企業の採用意欲が高い」とみる。

 高校生の就活日程は今後、9月5日に学校から企業への応募書類の提出を開始(沖縄県は8月30日)。9月16日に採用選考が解禁される。

大半の都道府県は、生徒が最初に応募する企業を1社に限る「1人1社制」の慣例がある。生徒は短期間で内定が決まるメリットがある一方で、3年以内の離職率が4割前後に上る要因との指摘があり、政府が各都道府県に慣例の見直しを促している。

大阪府は昨年度から、全ての高校が対象となる「公開求人」に限って1人2社まで認める仕組みを設けたが、併願利用は就職希望者約4900人のうち16人と1%に満たなかった。

 学校現場には「履歴書作りや面接対策で生徒の負担が増える」「指定校で対応できている」などの意見がある。府教育委員会高等学校課は「選択肢が増えるのは生徒にとってメリット。定着に時間がかかるかもしれないが、今後も続けていく」としている。

 和歌山県でも21年度から複数社応募が可能になったが、初年度の21年9月末時点の併願は5・4%にとどまった。(ヤフーニュース 参照)

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