人材確保・効率化を議論 介護報酬改定、年内に方針

2024年度の介護報酬改定に向けた議論が本格化した。28日の社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の分科会で各論の議論に入った。厚労省は人材確保や現場の生産性向上をめざす。年内に方針をまとめ、年明けに改定案を示す。

介護報酬は3年に1度改定する。介護にかかる費用は要介護者が6割を超える85歳から急増し、すべての団塊世代が85歳になる35年に向けた備えが求められる。

24年度の報酬改定で厚労省はサービスごとの報酬に関する議論に加え、介護に携わる人材の確保と現場の生産性向上、地域包括ケアシステムの推進といった分野全体にわたる課題を念頭に協議するとしている。

人手不足は深刻さを増している。厚労省は介護職員について25年度に32万人程度、40年度に69万人程度が不足すると試算する。人材確保のため報酬の手当ては有力な手段となる。膨張が予想される介護費用を抑えるには現場の効率化も急がれる。

介護従事者の22年12月時点の平均給与額(賞与を含む)は月31万8230円で、前の年に比べて1万7490円増加した。22年10月以降に介護職員1人あたり月9千円相当の処遇改善策をとったことが奏功したが、全産業平均には及ばない。

28日は通所や宿泊、訪問を組み合わせた介護サービス「小規模多機能型居宅介護」や、訪問介護・看護の各サービスの報酬内容について議論した。出席委員からは「介護従事者の負担に配慮しながら、サービスの適正化などの議論が必要となる」といった意見が出た。

厚労省はこれから各サービスの報酬内容について議論を深める。(日経電子版 参照)

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