外国人材特定技能、運転手など4分野追加へ 駅員も検討

人手不足の業種で外国人材が働く「特定技能」の対象をめぐり、関係省庁が「自動車運送業」や「林業」など4分野を追加する方向で調整に入った。追加が実現すれば2019年の制度創設以来初めてで、現在の製造業など12分野から働く場が広がる。数万人規模の新規就労が見込まれ、人材確保につなげる狙いがある。

特定技能は生産性向上や国内人材の確保に取り組んでも人手不足が深刻な分野に限って受け入れを認めている制度。現在は飲食料品製造業、機械・電気といった製造業、介護、建設などの分野で働く人が多い。

追加対象の自動車運送業ではバスやタクシー、トラックの運転手などとして働く。林業は素材生産などに携わる。このほか、木材加工などの「木材産業」、運転士や駅係員、軌道・電気設備整備などの「鉄道」の追加を検討。23年度内の閣議決定を目指す。

いずれも各業界から要望があがっていた。例えば運送では運転手の時間外労働に年960時間の上限が設けられ、物流が停滞しかねない「2024年問題」が指摘される。

政府は車両不足が深刻な地域や時間帯に限り、一般ドライバーが有償で送迎するライドシェアの限定解禁を決めた。特定技能への追加で外国人材も運転手に就けるようにする。第2種運転免許が必要となるため、警察庁は例題を20言語に翻訳し、多言語に対応できる試験の準備を進めている。

特定技能は、期間が最長5年の「1号」が23年11月末時点で20万1307人、何度も更新できる「2号」では29人が働く。

制度創設時に政府は24年春までの受け入れ上限を計34万5千人と定めていた。今後、次の受け入れ上限も設定する方針だ。

外国人材から「選ばれる国」となるため、法務省などは制度見直しを進めてきた。人権侵害などが批判されてきた技能実習は新制度「育成就労」に改める。原則禁止だった転職制限を緩和する。27年ごろの施行を想定している。

特定技能は育成就労の次のステップで、より高度な技能を持つ人材として日本で働き続けてもらうことを想定している。「2号」を取得すれば長期就労や家族帯同も可能になる。経験やスキルが不足していても来日し、技能や日本語力を磨きながら暮らし続ける道筋ができる。

特定技能と育成就労は対象分野をそろえる方針。技能実習には特定技能にない職種があり、関係省庁は特定技能の対象への追加を今後検討する。

外国人労働者の来日増加に備え、家族を含めた受け入れ環境の整備が急務となる。行政窓口や病院などの公的機関では多言語対応を進める必要がある。自治体などが開設している日本語教室の拡充も求められる。

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