技能実習に代わる新制度素案、就労1年超で転職可能に

外国人労働者のあり方を議論する政府の有識者会議は18日、技能実習に代わる新制度で就労から1年を超えれば転職を認める案を示した。5段階ある日本語能力試験で一番基礎的な「N5」合格なども要件とする。外国人材を受け入れやすいように処遇を改善する。

今秋まとめる最終報告に向けた素案で提示した。1つの企業で1年を超えて働き、基礎的な技能と日本語能力を試験で確認できれば、別の会社に転職できるようにする。農業から建設業といった業務分野を変える転職はできない。

座長を務める国際協力機構(JICA)の田中明彦理事長は会議終了後の記者会見で新制度について「日本の外国人受け入れの歴史の中で、重要な転機になる」と語った。有識者会議を複数回開き、早ければ11月中に最終報告をまとめる。

最初の在留期間は3年間を基本とする。より高度な技能試験に合格し、日本語能力が下から2番目の「N4」相当になれば、同じ業務で「特定技能1号」の資格に移れる。さらに最長5年間働き続けられる。試験に不合格でも最長1年在留できる救済措置を設ける。

特定技能2号の試験に合格すれば在留資格の更新回数の制限はなくなる。長期就労が可能になる。

素案には他国からの人材受け入れを担う監理団体の要件の厳格化も盛った。受け入れ企業と役員の兼務を制限し、外部のチェックを強化する。

外国人労働者が来日前に借金を背負わないように、受け入れ企業が来日前の手数料を負担する仕組みの導入を検討する。

現行の技能実習は国際貢献をうたい、転職を認めていない。借金返済のため、よりよい仕事を求めて失踪したり、賃金未払いのような劣悪な扱いを受けたりするケースが問題視されていた。

働き手不足を補うための労働力確保に使われている実態をふまえ、新制度は人材育成と人材確保を目的に掲げる。

政府は6月に技能実習を「発展的に解消」し、代替の新制度を創設すると決定した。今秋の最終報告をふまえ、外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議にかけ、24年1月召集の通常国会に提出する予定だ。

(日経電子版 参照)

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