外国人エンジニア、在留資格の審査3カ月超→1カ月に

政府は2023年秋からIT(情報技術)分野の外国人エンジニアが日本の在留資格を取得する際の審査期間を短縮する。国家戦略特区内が対象で、現在は長ければ3カ月以上かかる手続きが最短で1カ月ほどになる場合もある。自治体が受け入れ企業を事前に調べて迅速審査につなげる。

外国人エンジニアが入国する場合、技術者としての在留資格を取得する必要がある。各地の入管で本人が持つ資格や職歴、就職先企業の情報などを申告する。

受け入れ先が中小企業やスタートアップ、初めて外国人を雇用する企業の場合は審査完了まで3カ月以上かかる。企業情報の確認に時間がかかるためだ。入管は企業が倒産して外国人を雇えなくなるのを避けるため入念にチェックする。

審査の遅れは外国人と企業双方にとって不便になっている。外国人は審査中に国外で待機する必要がある。受け入れ企業も採用開始が当初の予定より遅れて業務に支障が出ることもある。

審査を早めるため自治体が外国人を受け入れる企業を事前に認定する仕組みを導入する。自治体の委託を受けた中小企業診断士が企業の財務状況や事業内容などを調査する。経営の安定性や外国人の受け入れ能力があるかを調べる。

自治体が外国人を受け入れられる企業と判断すればお墨付きを与える。地方入管は自治体の認定を基に進めて審査しやすくなる。

政府は今秋までに全国に13区域ある国家戦略特区でこの特例を認める要綱をまとめる。導入を予定する自治体は企業の認定に関わる要件を盛り込んだ要領をつくる。

地方の出入国在留管理局の負担を減らす狙いもある。出入国在留管理庁によると、22年末時点の在留外国人はおよそ307万人で初めて300万人を超えた。留学や技能実習、在留資格の取得による就労など地方入管の業務は増えている。

ITに従事する外国人エンジニアの審査期間の短縮は福岡市が要望している。今回の仕組みを適用すれば第1号となる見通しだ。

政府はIT人材を含むデジタル人材が26年度までに230万人不足すると見込む。地方でもスタートアップや中小企業で人材が足りない。IT化が進む海外で身につけた技術・知識の提供や海外への事業展開の担い手として外国人材を求める地方企業は多い。

ITエンジニアの需要は増えている。厚生労働省の一般職業紹介状況の調査によると、ITエンジニアを含む「情報処理・通信技術者」の有効求人倍率は22年度は1.51倍となった。前年度と比べて0.15ポイント上昇した。

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