技能実習「発展的に解消」 転職可能な新制度創設へ

政府は9日、外国人共生に関する閣僚会議で受け入れ制度の改正方針を決めた。技能実習は「発展的に解消」し代替の新制度を設ける。特定技能制度に関しては長期就労が可能な業種を現在の3分野から全12分野に広げる。外国人労働者の門戸を広げ働き手不足に対応する。

2023年度版の「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」をまとめた。岸田文雄首相は閣僚会議で「日本の深刻な人手不足を踏まえ、魅力ある働き先として選ばれる国になるようにすることが重要だ」と述べた。

技能実習は新興国への技術移転を目的に1993年に開始した。実習生を労働力として活用する実態が目的と乖離(かいり)しているとして改定を求める要望があった。

政府の有識者会議は技能実習の「廃止」を検討すべきだと提言した。受け入れ企業などから表現が強すぎるとの意見が上がり、政府の対応策では「発展的に解消」に変更した。「人材確保と人材育成を目的とした新たな制度を創設する」と記載した。

技能実習では原則認めていない転職の容認の範囲や、就労前に求める日本語能力などを有識者会議で再び議論し今秋に制度の詳細を固める。外国人への人権侵害などを防ぐための監理団体は要件を厳格化する。

人手不足の解消のため19年に導入した特定技能も改定する。資格更新の回数に上限がなく配偶者や子どもも日本で暮らせる「2号」の対象業種に農業や宿泊、機械金属加工の製造業など9分野を追加する。これまでの建設と造船関連の2分野から11分野に増える。

別の仕組みがある介護を加え特定技能の全12業種で長期で働けるようになった。一定の知識や技能があれば認める「1号」は最長5年しか日本に滞在できず家族の帯同もできない。技能試験に合格し熟練労働者だとみなされると2号に移行できる。

政府は今秋までに追加9分野で試験を始め、24年春から合格者に2号の資格を与えられるよう体制を整える。(日経電子版 参照)

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