正社員の人手不足「旅館・ホテル」75.5%が実感 「飲食店」非正規社員不足も85.2%に

新型コロナウイルスによる経済の停滞も抑制され、徐々に経済のスピード感が戻ってきている。しかし、さまざまな業種で人材確保がひっ迫し、人手不足を叫ぶ声が漏れ聞こえる。

   こうしたなか、帝国データバンクが2023年5月2日に発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)」によると、正社員の人手不足は全業種で51.4%にのぼった。とりわけ「旅館・ホテル」では、人手不足が8割に迫る深刻な高水準である実態も明らかになった。

   また、非正規社員で業務を行っている「飲食店」においては、8割超の現場で人手不足を感じるなど、コロナ前の水準に戻ってきていることがわかった。

はじめに、2023年4月時に全業種に対して従業員の過不足状況を聞いてみると、「不足」と答えた企業は「51.4%」に上った。前年同月比では5.5ポイント上昇している。

   また、非正社員では「30.7%」となっており、4月としては4年ぶりに3割超の水準に達した。

   同社では

「例年4月は新卒新入社員が加わることもあり、月次では(過不足状況は)やや低下する傾向があるものの、5割を上回った。4月としては過去最高を記録した」

   と分析。

続いて、正社員の人手不足割合を業種別でみてみると、「旅館・ホテル」が「75.5%」で最も高くなった。毎月の統計では6カ月連続で業種トップとなり、深刻な人手不足が続いている。

   次いで、IT人材不足が顕著な「情報サービス」も「74.2%」で続いた。

   同社では

「実際に企業からは『案件が多いものの人手が足りない、という状況が継続している』(ソフト受託開発、神奈川県)などの声が聞かれた。」

   としている。

   他業種を見てみると、「メンテナンス・警備・検査」は「67.6%」と、9カ月連続の高水準。「建設」も「65.3%」は12カ月連続で6割超となった。

   また、「物流2024年問題」が話題に上がる「運輸・倉庫」も「63.1%」と6割超の高水準となった。

   さらに、レンタカー業などを含む「リース・賃貸」は「60.7%」とコロナ禍以降で最も高くなった。

つぎに、非正社員の業種別では「飲食店」が「85.2%」で唯一の8割超に達した。

   同社は飲食業の従業員の特徴について

「飲食店は、パート・アルバイトなどを含む非正社員の就業者全体の7割以上を占めている特徴があるなかで、就業者数がコロナ前まで回復していない状態が続いている」

   とコメント。

   飲食店以下、「旅館・ホテル」(78.0%)、「飲食料品小売」(58.7%)、「娯楽サービス」(47.2%)など、個人向け業種が上位に多く並んでいるようだ。

今後の見通しについて同社では、

「今回の調査では正社員の人手不足感は51.4%、非正社員は30.7%となった。 アフターコロナに向けての動きが本格化するなか、企業の人手不足感は高止まりの状況にあることがわかった。なかでも『旅館・ホテル』の人手不足の割合は8割近い水準となり、『飲食店』の非正社員不足も突出していた。
企業からは『新型コロナ禍で抑制されていた人流の活性化や旅行支援、イベントやスポーツ大会の正常化などで高稼働の状況が続くが、人手不足で十分な対応ができない』(大分県、旅館)との声が聞かれる。
今後は訪日外国人客の更なる増加が期待されるなかで、外国人労働者などの活躍による人材確保やDXなどによる合理化投資が急がれる」

   と総括している。(j-castニュース 参照)

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