ハローワーク求人、民間より賃金1〜2割安医療や介護は採用難に拍車

ハローワークの地盤沈下が進んでいる。日本経済新聞が求人データを分析したところ、主要職種の賃金が民間サービスより1〜2割低かった。民間業者に求職者が流れ、条件の良い求人が減ってさらに敬遠される悪循環の構図だ。採用コストをかけられない中小企業や介護事業者などが一段と人手を集めにくくなっている。

求人ビッグデータ事業のフロッグ(東京・千代田)が集める約7000万件の正社員求人データをもとに平均下限賃金(月給)をハローワークと主要民間5媒体で職種ごとに比べた。2025年はフロッグが定義する22の大分類職種すべてでハローワークは民間平均を下回った。

ハローワークは、エッセンシャルワーカーの多い「医療・医薬・福祉」「運輸・物流・配送」の求人が全体の約半数を占めている。こうした求人の賃金は民間より1割ほど低かった。次いで求人が多い「営業・事務・企画」は約2割低かった。

格差は一部職種で拡大傾向にある。さらに細かい132の中分類職種で調べたところ「看護師・准看護師・保健師・助産師」の賃金差は20年の5.6%から25年に9.1%になった。医師や理学療法士などを含む「医療系専門職」は20年の4.8%から25年は8.2%に拡大した。

「運輸・配送・倉庫系作業」は20年以降、16〜17%の差がある。「介護・福祉」は3〜4%の差が縮まらない。

民間サービスはオンラインが主体だ。求人を容易に検索できる専用アプリを提供する業者も多い。スマホになじんだ若年層は、窓口対応が基本のハローワークより民間を選びやすい。ハローワークの20代以下の利用者は2割程度だが、大手転職サービス「doda」は5割に上る。

民間サービスは、求人企業がネットで求職者に直接アピールできるスカウト機能も充実しており、条件に合う人材を採用しやすい面もある。

求職者が離れてハローワークで条件の良い募集が少なくなった結果、ますます求職者が離れる負の連鎖に陥っている可能性がある。

25年1〜11月のハローワーク経由の就職は前年比6%減の102万件だった。通年でも110万件前後で統計のある1963年以降で最低となったもようだ。15年比で4割少ない。大都市部の落ち込みが大きく、東京都や大阪府は減少率が5割程度だ。新規求人に対する就職件数の比率(25年1〜11月の全体平均)は11%にとどまる。

24年の就職者のうち民間の人材紹介と広告を利用した人は41%に上り、10年前より2ポイント増えた。ハローワークは16%で10年前より6ポイント減った。

事業者は採用コストが増す。ハローワークへの求人掲出は無料だが、民間の人材紹介サービスで採用すると年収の30%程度を手数料として支払う必要がある。求人広告を出すだけでも採用に至った場合の成果報酬として1人当たり数十万円程度を求められることがある。

医療・介護業界にとってハローワークは人材確保に不可欠のインフラだったが民間依存を強めつつある。

「ハローワークに応募してくるのはネットが使えない高齢者などが多い。民間サービスに頼らざるを得ない」。全国介護事業者連盟(東京・千代田)の斉藤正行理事長は苦渋の表情を浮かべる。

厚生労働省によれば23年度の医師・看護師・介護職の紹介料は計約1280億円と19年度比で1.6倍、15年度比では2.4倍に膨らんだ。診療報酬や介護報酬は公定価格であり、採用コスト増は経営の痛手となる。

ハローワークは高齢者や障害者など「就職困難者」のセーフティーネットでもある。民間サービスへの過度の傾斜は、これらの人々を労働市場から疎外することになりかねない。

労働経済学が専門の中央大学の阿部正浩教授は「ハローワークには職業訓練などの情報を提供する機能もあり、その役割は民間が代替し切れない。利用者にとって使い勝手を高めるため、IT・ネット分野への投資も強化する必要がある」と指摘する。

(日経電子版 参照)

  

 





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