外国人「育成就労」、見えてきた具体像 要件は厳格化

製造、建設、農漁業などの現場を支えてきた外国人技能実習制度が2027年までに育成就労制度に生まれ変わる。24年の出入国管理法改正の時点では制度の詳細が固まっていなかったが、出入国在留管理庁と厚生労働省による省令案が判明し、具体像が浮かび上がってきた。現行制度の課題は解消されるのか。

(1)受け入れ要件を厳格化

技能実習は日本で技能・技術を学び出身国の経済発展に生かしてもらうのが理念だった。育成就労は人材育成と日本国内の人材確保が目的となる。

受け入れは人手不足の業種・企業に限られる。従業員を辞めさせ、代わりに低賃金の外国人労働者を雇うといった事態を防ぐため、省令案では過去1年間に解雇や雇い止めなど「非自発的離職」のあった企業は育成就労で外国人を雇用できないとした。

大半の技能実習生は来日前に出身国の人材会社(送り出し機関)に数十万円を支払っている。新制度で本人負担は日本での月給2カ月分を上限とし、超過分は受け入れ企業が肩代わりしなければならない。

技能実習では非営利の「監理団体」が受け入れ窓口となり、就労先で実習が適切に行われているかなどをチェックする。監理費を支払う企業側に配慮しがちで〝お目付け役〟の役割を十分に果たしていないとの批判があった。

育成就労でも「監理支援機関」が同様の役割を担う。受け入れ企業に過剰に配慮することがないよう、取引企業が1社のみなら監理支援機関として許可しない。現在の監理団体の7%程度が該当する。実務に従事する職員は2人以上、1人あたり8社未満とする。

技能実習は最長5年だが、育成就労は在留資格「特定技能」の前段階との位置づけで原則3年間とする。季節性のある農業、漁業に限り、業務のない期間は一時帰国を可能とし、帰国期間を除いて通算3年とする。一時帰国や再入国の旅費は受け入れ側の負担とする方向だ。

(2)地方企業に配慮

計画的・効率的に技能を身につけるには同一の職場で働くべきだとの考え方から、技能実習では原則として転職が認められなかった。職場に不満があっても我慢を強いられる構造が人権侵害の温床になっており、年1万人近くに上る失踪を生んでいると批判されてきた。

育成就労は働き始めてから1〜2年で自らの意思による転職ができる。働き手の自由度が高まる一方、地方企業からは賃金水準の高い大都市の企業に外国人材が流出してしまうとの懸念が出ていた。

こうした地方の声に配慮し、省令案では外国人の受け入れ人数枠について、地方の優良企業は大都市圏より優遇するとした。

転職者を受け入れられるのは試験合格率や育成体制、法令順守状況などの基準を満たす優良な企業のみにする。転職者は育成就労で働く在籍外国人の3分の1以下、都市部の企業が地方から受け入れる場合は6分の1以下に制限する。

講習費など企業が採用時に支払う費用を転職先も負担すべきだとの意見がある。省令案は、初期費用の「標準額」を設定したうえ、就労期間に応じて転職先に支払わせるとした。例えば1年で転職した場合は初期費用の6分の5、2年なら2分の1を転職先が補塡することを想定する。

(3)日本語教育を拡充

技能実習は来日後1カ月以上の入国後講習が義務付けられており、日本語や労働法令などを学ぶ。ただ、日本語学習の時間数や内容などは定められていなかった。

育成就労は、働き始めるまでに国の6段階の指標で最もやさしい「A1」相当の試験に合格するか、講習を受けなければならない。省令案は、講習について国の認定を受けた日本語学校か、国家資格「登録日本語教員」を取得した教師によるものに限定した。100時間以上の実施を求めている。

3年間の就労中に「A2」相当の試験に合格しなければ特定技能1号に移行できない。企業の負担で100時間以上の日本語教育を提供することを求めた。

一方、特定技能2号への移行時に「B1」相当の試験の合格を要件とした政府方針については、法施行後の一定期間は求めないことにした。

入管庁などは今後、省令案について有識者懇談会などの意見を聞いたうえ夏までに決定したい考えだ。

(日経電子版 参照)

 

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