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わが国で少子化の流れが止まらない。4日に発表された2024年の「人口動態統計」によれば、出生数は前年比5.7%減となり、70万人を割った。出生数と死亡数の差である自然減も、91万9237人と減少幅が拡大し過去最多となった。国の想定を上回るスピードで進む人口減少は、日本経済の先行きに大きな影を落としている。
その一方、わが国に在留する外国人の数はここ数年、着実に増加している。出入国在留管理庁による3月14日の報道発表によれば、2024年の在留外国人数は約36万人増の約377万人であった。増加数は、昨年の人口自然減の約4割を補うものである。なかでも、生産年齢人口(15~64歳)では、日本人の減少を外国人で補う構造が定着しつつある。既にいくつかの職種では、外国人なくしては成り立たないものも現れている。
永住者を除く在留外国人の数を都道府県別にみると、東京都など大都市圏では、「技術・人文知識・国際業務」や「留学」の割合が高い。地方圏では、人手不足が深刻な分野を主な対象とした「技能実習」や「特定技能」という在留資格が半数以上を占めるところが多い。人口減少がより深刻な地方で、労働力不足を外国人で補わざるを得ない実態が着実に広がっている。
総人口に占める外国人の数は、他の主要国に比べるとまだ低い。しかし、急速な出生数減少を踏まえると、生産年齢人口の減少を外国人で補う必要性は高まるだろう。
外国人労働者だから問題だというつもりは毛頭ない。しかし、これまで外国人労働者に関しては、低賃金、長時間労働、コミュニケーション不足など問題点が指摘されてきた。文化的な違いや言葉の壁による摩擦から、地域社会との連携を懸念する声もある。これら問題点や懸念を解決し、外国人労働者と共存を図ることが今後は重要となる。
外国人労働者を受け入れてきた他国では、外国人が多様な人材を確保する上で重要な役割を担ってきた。他方、劣悪な労働環境が問題視されると同時に、トラブルも数多く報告され、差別や偏見も課題となっている。人口減少が進むなか、外国人労働者の問題は、日本社会が避けて通れない課題である。政府、企業、地域社会が連携し、誰もが安心して暮らせる環境を整備することが求められている。(日経電子版 参照)