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熟練した外国人材が日本で長く働く道が広がりそうだ。人手不足対策として2019年に創設した在留資格「特定技能」について、長期就労が可能な業種を6月にも現在の3分野から全12分野に拡大する方向で関係省庁が調整に入った。実現すれば期間限定の受け入れだった飲食料品製造や外食などの分野で、技能を磨いた外国人労働者を企業が継続雇用できるようになる。
24日の自民党の外国人労働者等特別委員会で、特定技能の長期就労分野の拡大を求める各省庁の要望を出入国在留管理庁が伝えた。政府・与党が検討して6月の閣議決定を目指す。省令改正などを進め、資格取得などの運用開始は24年5月ごろになる見通しだ。少子化で外国人労働者が不可欠となっており、受け入れ政策を見直す。
外国人材の受け入れには主に2通りある。高い専門性や技術力を持つエンジニアなどの高度人材と、製造業や農業、建設業などの現場で働く技能実習や特定技能だ。
技能実習は廃止し、人材の確保・育成が目的の新たな制度を創設する方向となっている。実習後に特定技能に移行する人は多く、両制度の改定が進めば非熟練の外国人材がスキルを向上させながら長期就労できる環境整備が進む。
背景には人手不足の深刻化がある。国際協力機構(JICA)などは政府が目指す経済成長を40年に達成するには、外国人労働者は現在の4倍近い674万人必要と推計する。各国で少子化が進み、労働力の獲得で競争激化が見込まれる。
この時期に見直すのは、特定技能の創設当初から働く人が24年5月以降に在留期限を迎え始めるためだ。現状では多くが帰国を迫られる。引き続き日本で働ける道を用意するかを早急に示す必要があった。
具体的には特定技能「2号」の対象分野を拡大するよう調整する。技能などの試験に合格するか技能実習修了が条件の「1号」は最長5年だが、2号は資格更新回数に上限がなく配偶者や子どもも日本で暮らせる。これまで対象は建設など2分野のみだった。残る10分野のうち、別の資格で長期就労できる介護を除く9分野での追加を関係省庁が求めている。
2号の取得では建設などと同様、各分野の技能を持つ熟練者に限る方針だ。2号取得者は10年以上滞在し、安定した生活を営む資産があるといった要件を満たせば永住権取得も可能になる。
自民党の一部からは「事実上の移民受け入れにつながりかねない」との慎重論が出る可能性がある。18年に特定技能導入を決めた際は自民党の部会で2号の適用厳格化を求める意見が出た。
特定技能は2月末時点で約14万6千人。外国人労働者(22年10月時点で約182万人)の約8%に当たる。国籍別ではベトナムが約6割を占め、インドネシア、フィリピンが1割超で続く。入国制限緩和で拡大している。
賃金が上がらない日本で働くメリットは薄れてきたとの見方もある。台湾では非熟練者でも最長12年間(介護などは14年間)働ける。韓国は所得や語学力などが一定水準に達した外国人に永住権を与える。日本もさらに呼び込む手立てが必要となる。(日経電子版 参照)